海上自衛隊呉基地(広島県呉市)に停泊中の潜水艦内で2等海尉の男性(46)=山口県=が自殺を図り、両親が国と上官2人に計約4400万円の損害賠償を求めた訴訟が16日、山口地裁で和解した。
原告の代理人弁護士によると、和解内容は、上官2人が男性への暴力行為と行き過ぎた指導があったと謝罪し、国が和解金として両親に計1100万円を支払うというもの。
弁護士などによると、男性は2000年入隊。上官2人に暴力や暴言を受け、13年7月ごろうつ病になり、同年9月、基地に停泊中の潜水艦「そうりゅう」の寝室で拳銃自殺を図った。
男性は一命は取り留めたが首に大けがを負い、今も首から下が動かず寝たきりで、家族が介護している。母親は弁護士を通じ、「息子の体の自由が戻ることはないという現実と、苦しみを思うと、暴力をふるった上官たちが、今楽しそうに過ごしているなら、絶対に許せないと思ってしまいます」との談話を出した。
和解条項には、海自内で今後同じようなことが起きないよう、上司は部下の心情把握に努めることなどが盛り込まれた。山村浩・海上幕僚長は「今回の事案を重く受け止め、海上自衛隊としては同種事案の再発防止策を徹底する」とのコメントを出した。(高橋豪)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル